【原因と対策】ウォーキングで腰が痛いのはなぜ?正しい歩き方とセルフケア

「健康のためにウォーキングを始めたのに、歩いているうちに腰が痛くなる…」
そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
痛みを我慢しながら運動をすることは、ケガの原因になる可能性もあるため正しい方法でウォーキングを行いましょう。
この記事では、ウォーキング中に腰痛が現れる具体的な原因について解説し、ご自身で今すぐ実践できる正しい歩き方と効果的なセルフケアをご紹介します。
ウォーキングが腰痛対策に推奨される理由

ウォーキング中に痛みが出るケースがある一方、適度なウォーキングは慢性腰痛の改善・予防に非常に効果的だとされています。
日本整形外科学会と日本腰痛学会によって作成された「腰痛診療ガイドライン2019」では、慢性的な腰痛に対してウォーキングなどの運動療法を強く推奨しています。
ウォーキングが腰痛に効果的なのは、筋肉の柔軟性向上やストレス発散効果による痛みの緩和が原因だと考えられています。
筋肉の柔軟性向上と筋力強化
30代以降は、老化や運動不足により腹筋や背筋が衰え、筋肉の柔軟性が低下しやすい状態になる傾向があります。
柔軟性が低下した状態では、わずかな動きで腰に痛みが生じることがあり、これが慢性的な腰痛を引き起こす原因のひとつです。
しかし、定期的にウォーキングを行うことで、腹筋や背筋が鍛えられ、硬くなった筋肉がほぐれて腰の可動域が広がります。
筋肉の柔軟性が向上することで、腰痛の予防につながるのです。
ストレス発散効果による痛みの緩和
慢性的な腰痛の原因は、複雑な要因が絡み合って起きていることも多く、具体的な原因が特定できないケースもあります。
慢性的な腰痛と密接な関わりがあると考えられているのが、精神的なストレスです。
長期的な精神的ストレスは、脳内の痛みを抑制するシステムに関わるドーパミンの分泌量を低下させ、腰痛の慢性化につながる可能性があります。
ウォーキングのような有酸素運動は、ドーパミンの分泌を活性化させ、腰痛が改善する効果も期待できます。
また、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが分泌され、精神的なストレスを緩和する特徴もあるため、心理的な緩和効果も期待できるでしょう。
ウォーキングで腰痛が発生する2つの原因

長時間のウォーキングで現れる腰痛は、主に「背骨の病気による腰痛」と「筋肉の疲労・炎症による腰痛」の2種類に分類され、それぞれメカニズムが異なります。
背骨の病気による腰痛
慢性的な腰痛が起きている場合、背骨の変形などによって神経が圧迫されることで発生している可能性があります。背骨の病気による腰痛では、痛みに加えて「足のしびれ」が見られるのも特徴です。慢性的な腰痛の原因となりやすい病気の事例は、以下のとおりです。
【腰部脊柱管狭窄症】
背骨の中の脊柱管が狭くなり神経を圧迫します。少し歩くと痛み出し、休むと楽になる「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」が特徴的です。50代以降の高齢者に発症しやすい傾向があります。
【腰椎椎間板ヘルニア】
椎間板の髄核が飛び出し神経を圧迫します。重労働や喫煙、遺伝などが関係し、20代から40代の男性に発症しやすい傾向があります。悪化すると足に力が入らなくなり、転びやすくなるなどの症状が現れることがあります。
【腰椎分離症】
主に10代のスポーツ活動が原因で、背骨の一部が疲労骨折します。腰を捻ったり反らしたりした際に痛みが強まる傾向があります。
上記の病気が原因の場合、セルフケアだけで改善するには困難です。必ず整形外科などの専門的な医療機関を受診し、医師のもとで治療を行いましょう。
筋肉の疲労や炎症による腰痛
過度な運動や腰への負担によって筋肉に疲労が溜まった状態は、筋肉に炎症を起こし、慢性的な痛みの原因となる可能性があります。具体的な事例は、以下のとおりです。
【筋筋膜性腰痛】
腰まわりの筋肉が傷つくことで発症します。長時間同じ姿勢で作業する方や、毎日通勤などで長距離を歩く方も要注意です。腰まわりの筋肉を押すと痛む、夕方に重だるくなるのが特徴です。
【急性腰痛(ぎっくり腰)】
疲労の蓄積や筋力低下などが原因で、腰まわりの筋肉が強い炎症を起こし急激な激痛が現れます。歩いている途中で階段を登ろうとした瞬間などに発症する可能性もあります。
上記の病状に該当する場合、日常生活を工夫することで、痛みを緩和できる可能性があります。医師などの専門家から日常生活の動作指導を受けて、セルフケアを始めましょう。
腰痛を防ぐ正しいウォーキングのコツ

間違った歩き方をする方は、腰に負担が集中してしまい、痛みにつながる可能性があります。
腰痛を改善・予防するためには、正しい姿勢で全身を使ったウォーキングを行い、バランスよく筋肉を刺激することが重要です。
【正しい姿勢と歩き方のポイント】
①姿勢
頭頂が天井にひっぱられるイメージで背筋を伸ばし、横から見て耳・肩・腰・骨盤が一直線になるように意識します。お腹に力を入れ、下腹を引き上げる意識で薄く凹ませながら歩き、体幹を安定させましょう。
②目線
あごを軽く引き、前方20~30m程度前方を見るようにします。
③着地・重心移動
足のつま先ではなく、かかとから着地し、地面を蹴り出すように歩きます。かかと→足の裏全体→つま先(親指)の順に重心を移動させましょう。
④歩幅と速度
少し大股を意識し、息が弾む程度に速く歩くのがポイントです。ただし、慣れるまでは正しい姿勢を保つことを優先し、速度を落としましょう。
身体に負担をかけるNGウォーキング

以下のような歩き方をする方は、腰へ大きな負担をかけてしまいます。歩行の状態が該当しないか自分でチェックしながら実践しましょう。
- 【悪い歩き方のポイント】
 ・歩幅が大きすぎる:痛みがある人は歩幅を小さくしてゆっくり歩きましょう。
- ・歩くスピードが速すぎる:足への衝撃が大きくなり、負担が増えます。
- ・姿勢の崩れ:猫背や反り腰の姿勢で歩くと、腰への負担が増します。
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ウォーキング前後のセルフストレッチ
 
- ウォーキングで腰痛を悪化させないためには、前後にしっかりとストレッチを行うことが重要です。ウォーキング前後のストレッチは、ケガを防ぐだけでなく、血流を改善し、体がスムーズに動きやすくなり、疲れが残りにくくなる効果があります。
【腸腰筋のストレッチ】
片足を大きく前に開き、股関節の付け根を伸ばす。
【大腿四頭筋のストレッチ】
壁に手をつき、かかとがお尻につくように膝を曲げ、太ももの前を伸ばす。
【ハムストリングスのストレッチ】
伸ばしたい足を後ろにクロスさせて立ち、身体を前に倒して伸ばす。
【ふくらはぎのストレッチ】
壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につけたまま前の膝を曲げる。
【大殿筋のストレッチ】
仰向けに寝て片足の反対側の太ももに乗せ、膝を抱えて反対側の肩へ寄せる。
ウォーキングで起きる腰痛は専門家へ相談しよう
ウォーキングは、腰痛予防に効果的な運動です。しかし、間違った歩き方をした場合、かえって腰痛を悪化させる原因になる可能性もあります。歩く前後にはストレッチを行い、正しいフォームを意識して歩きましょう。
ウォーキング前後の腰痛や慢性的な痛みにお悩みの方は、専門家へ相談することも大切です。
ひなた整骨鍼灸院では、腰痛改善のストレッチや施術も行っております。経験豊富な治療家が話をじっくりと聞いたうえで、お身体の状態に合わせて治療を行います。
まずはお気軽にお問い合わせください。
